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出会わないはずの二人の出会いは化学反応を起こす~映画『最強のふたり』より~

はじめに

こんにちは。YUKI(@freedom_0117)です。

 

皆さんは最近、映画は観ていますか?

 

新型コロナウイルスの問題もあり、思うように映画館に足を運ぶことが難しくなっています。しかし、「そんな時こそNetflixで過去の作品を観よう!」と意気込んで出会ったのが最強のふたりという作品です。

 

※一部不適切な文章表現が含まれることもありますが、温かく見守っていただますと幸いです。

 

この写真を見て皆さんどのように感じましたでしょうか?

 

・笑顔で楽しそう

・仲良さそうだな

・タイトル通り良い雰囲気のふたりだな

・黒人と白人

・健常者と障害者

 

はい、全部正解です。どんな感想を抱くのかは人それぞれですよね。

 

それでは、概要含め『最強のふたり』の見所・私自身が感じたことについてご紹介していきます。

 

概要

※上写真の左の白人男性がフィリップ(役:フランソワ・クリュゼ)。右の黒人男性がドリス(役:オマール・シー)です。

 

最強のふたり』は2011年公開のフランス映画です。パリを舞台に、大富豪の障害者フィリップが雇った世話役であり、スラム街出身のアフリカ系青年ドリス介護する側とされる側の関係を通して、男性同士の友情を築いていく心温まる作品となっています。
本作品は実話に基づいており、ユーモアあふれる展開ながらも、貧困や麻薬、移民、病気、死別、養子、障害者のセクシュアリティ等、様々な社会問題に問いかける作品でもあります。

 

最強のふたり』ストーリー

オープニング

オープニングから胸躍るシーンが繰り広げられます。

 

夜の渋滞する道路を右へ左へと走り抜けていく黒の高級車。

 

運転席には黒人の男性、助手席には白人の男性が。その後をパトカーが追いかけて来ている中で、逃げ切るかどうかに200ユーロ賭けようという黒人に対し、その賭けに乗る白人。

 

その後、警察に止められ、2人とも外に出るように言われましたが、黒人のみが出て、怒りながら、「助手席の男性は障害者で出られない。車椅子を積んでいる。何のために急いでいたと思うんだ。病院に連れて行くためだ」と説明します。助手席の白人は発作を起こした演技をし、口からよだれを垂らしています。「このままだと死んでしまう」と警察を説得する黒人。

 

その様子を見た警察も慌てて「病院まで先導する」と言います。病院に到着し、警察に挨拶して別れ、病院からスタッフが出てくる前に病院の救急用ロータリーを車は走り去って行くのでした…。

 

この時点で多くの視聴者はこう思うでしょう「なんてクールなタッグなんだ…!」と。

 

フィリップとドリスの出会い

二人の出会いへと遡ります。

 

豪勢で煌びやかな大邸宅の廊下に男性がずらりと並んでいます。一人ひとり呼ばれ、面接を受けているようです。

 

大きな机越しに「なぜこの仕事に就きたいのか」と質問をする女性は、この家の主人であるフィリップの秘書マガリー(役:オドレイ・フルーロ)です。その後ろには電動車椅子に腰掛けたフィリップがいます。顎を使って車椅子を操作しています。

 

誰もがありふれた志望動機を語る中で、唯一、黒人のドリスはただ就職活動をした証明をもらいに来たと言います。不採用3件で失業手当をもらえるから、と。ドリスは初対面にも関わらず、魅力的なマガリーを気に入っており、不採用証明に携帯番号を書いてとも言うのです。気さくで、飾らず、障害者を障害者として扱わないドリスをフィリップは気に入って、明日書類を取りに来るようにと言いました

 

シーンの一つに、ドリスが家で弟や妹たちに邪魔されながら入浴をするシーンや、一番上の弟が悪い仲間と付き合っているシーン、そして夜に仕事から帰った母親に大邸宅から盗んだ装飾品を渡しますが喜ぶわけもなく、叱られ、出て行けと言われるシーンがあります。このシーンからはドリスとその家族の生活環境が決して良いものではないことが分かります

 

翌日、フィリップの屋敷に書類を取りに行くと、中に通され、豪華な住み込み用の部屋を提供され、試用期間を与えたいと言われます。看護師からフィリップの介護方法を教えられるドリス。浮腫み防止のストッキングの履かせ方、排せつの手助け、等々。ドリスは器用ながらもフィリップを一人の人間として介護します。車で外出する時にも、それまで使っていた車椅子用のバンは「馬を載せるみたいだ」と言い、隣に駐車されていた黒い乗用車を使います。その高級車のエンジン音に興奮するドリスを、フィリップは温かい目で見守っているシーンがとても素敵でした

 

フィリップの親類たちはドリスを介護人として雇ったことを心配していましたが、ドリスは身体が大きく健康で、頭もよく、自分に同情していないところが良いとフィリップは言います。

 

その夜、フィリップの苦しそうな呼吸音で隣の部屋で寝ていたドリスは目を覚まします。外の空気を吸わせるため朝4時にパリ市街に連れ出し、ドリスは自分のマリファナをフィリップにも吸わせるのです。その後、まだ暗い中カフェで語る二人。ドリスはそこでフィリップの身の上話を聞くことになります。

 

フィリップはどうして車椅子での生活となってしまったのか、家族との関係はどうなっているのか、その後ドリスとフィリップはどのようにして関係を築いていったのか等、笑顔有り、涙ありの深い物語が続いていきます。

 

この物語は私たちに何を伝えたかったのか

テーマにもある通り、本作品から何を学んだのか。この観点が映像作品を観る上で、より楽しむためのヒントであると思います。

 

私が強く感じたのは、『人からどう見られるかの人生ではなく、自分が心から楽しいと思える人生を歩みなさい』といったメッセージです。メインキャラクターであるドリスは黒人で、決して家庭も裕福というわけではありません。一見、不幸せでは?と思われる生活環境でも、ドリスの人間性やどんな人に対しても無意識に平等に接する姿にフィリップも好感を持ったのではないかと私は考えます。

 

対してフィリップは所謂、大富豪と呼ばれる裕福な住環境です。お金はある一方で身体がが麻痺をしており、周囲の助けなしでは生きてはいけません。さらに、介護役として関わる人たちの接し方にも苛立ちを隠せないシーンも作中ではありますバリアフリーや平等な社会について頻繁に議論され、街づくり等にも配慮が浸透しつつある現代ですが、健常者と障害者との線引きを、私含め心のどこかで無意識的にしてしまっているのかもしれません。

 

全員に対応する最適解があるわけではないので一概には言えませんが、ドリスのようにありのままであらゆる人に接することができれば、もっと生きやすい世の中になっていくのでは?と思います。

 

本作品の見所は本ブログでは書ききれないくらいまだまだあります。皆さんもぜひご覧になってはいかがでしょうか。